ワンルーム・ビターキス
ちょっと照れくさくてへへっと笑う。



チラッと翠を見ると少し驚いたような顔。




あれ、私変なこと言った…?




「…お前、マジずるい。無自覚なのもムカつく」


「へ…」




何を1人でブツブツ言ってるのかと思えば、目の前に翠の顔。



だんだんと迫ってくるのがスローモーションみたいに見えて。




…あ、この感じ知ってる。


なんて思った時にはもう遅かった。




「…っ」




ゆっくりとまぶたを閉じた翠と、唇が重なった。




なんで。


どうして?



寝起きじゃないのに、


さっきまで普通に話してたのに。





「…いまのは俺悪くないから。」



「えぇ…」




頭が働かない。


じゃあ悪いのは私ですか?って。


いやでも何もしてないし…




それに、悪いも悪くないもそもそもキスは罰ゲームじゃないじゃん。



翠はそんなことするタイプじゃないのに。





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