ワンルーム・ビターキス
「じゃあ、そんな緋和のために簡単な心理テストを行います!」


「え、なに急に…」




いいから黙って聞いて!と言われて私はしぶしぶ黙った。




「もし楠木先生が突然女の人を連れて帰ってきて、“ 俺の彼女 ” って紹介してきたらどう思う?」


「え?そんなの…」




ヤダ。


即否定しそうになって慌てて口を噤んだ。




翠に彼女?

できてしまったら、私はもう一緒にいれなくなるだろう。




寝ぼけたままの翠のおはようも、あたたかくて落ち着く翠とのハグも、ブラックコーヒー味のちょっと苦いキスも。


全部全部、なかったことになる。



私たちの関係はきっと教師と生徒に戻るんだ。





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