ワンルーム・ビターキス
「…やだよ、絶対に嫌」




首をぶんぶんと横に振ると、円香はふわっと微笑んだ。




「なんだあ、もうとっくに答え出てるんじゃん」




くるくるに巻かれたロングヘアの毛先をいじる円香。





答え、出てるんだ。


初めてのこの気持ちは恋だったんだ。




私は…翠のことが好きなんだ。





「…っ」


「やだー!緋和ってば顔真っ赤で可愛い〜」




そう指摘されてバッと顔を隠すけど、多分もう無駄。


だって、耳まで顔全体が熱いから。




「クールビューティーな相楽さんはどこへやら」



「何それ…」




クールビューティーなんて私には似合わない言葉だ。



クールでもなければ、もちろんビューティーでもない。



私の対義語?ってくらい。





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