年下の君を好きになっちゃダメだから……【完】
私が彼と別れた翌週、琉偉くんは、彼女をうちに連れてきた。

小柄で女の子女の子したかわいらしい子。

別に悪い子じゃない。

むしろ、いい子だと思う。

でも、彼女が琉偉くんに甘えるように寄り添うのを見ると、無性にいらいらした。

これ……まさか、嫉妬!?

気づいた時、私は愕然とした。

私、もしかして、琉偉くんのこと……

なんて不毛なの。

琉偉くんは、私の勧めで彼女と付き合ってる。

何より、彼は私のことを、幼馴染のお姉さんとしか思ってないだろう。


忘れなきゃ!


私は、いらいらを隠して、上辺だけの笑顔で会話を取り繕う。

美月(みつき)さんも、彼氏さんをよく連れていらっしゃるんですか?」

にこにこした笑顔で話を振られて、焦った。

この幸せそうな子に、先週、別れたばかりだなんて言いたくない。

「前はね。
 でも、就職してからは、忙しくて……」

そんな風にごまかした。



あれから、半年、私は、家族にも琉偉くんにも、彼と別れたことを隠している。

これ以上、琉偉くんに想いが向かわないよう、ブレーキをかけるために。
< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop