きみにしかかけない魔法


*


「ごめんね、さわがしー奴らで」

「ううん、そんなことないよ」



あの後、『もーおまえら、いい加減かえって、この時間はおれの特等席なんだから』と怪訝そうに顔をしかめた水羽くんをみて、からかいながら『はいはいごめんねー』とみんなは去って行った。


『またくるね』『今度はおすすめ漫画持ってくる!』と笑顔を向けてくれたその表情が、胸が苦しくなるくらい嬉しかったこと、水羽くんは気づいてなかったかなあ。



「……いいひとたちだね、水羽くんのともだち」

「ああうん、あいつら見た目は派手だけど、すっげえいい奴らなんだよなー」


「類は友を呼ぶんだろうな」

「え?」

「水羽くんがいいひとだから、きっといいひとが集まってくるんだろうな、って」

「ふは、何それ、褒めすぎだよー」



何かの漫画で読んだ気がする。

いい人の周りには白い羽の綺麗な鳥がいて、幸福を連れてきてくれるんだって。


水羽くんはきっと、たくさんの白い鳥をもってるんだよ。

それはまるで、魔法使いみたいに周りの人まで巻き込んで、きらきらして、日だまりのようにあたたかくて、鳥の羽のようにやさしい、そんな魔法なんだよ。




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