撃ち抜くならキスのあとで
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「……荻原、くん」
コンビニでミルクティーを買って、荻原くんのところに戻るかどうか少し迷って。
荻原くんが怪我してたらどうしようと思って、やっぱり公園に戻ってきてしまった。
……どうしよう、怖い。
あれから何が行われるのか、ばかな私にだってわかる。
足が震えるけど、それでも、荻原くんが心配だ。
勇気を出して公園に入って、目を疑った。
───そこには、荻原くんだけが立っていた。
きちんと着た制服。さらさらの黒い髪。ピアスのない耳。煙草のない手。
月明かりに照らされて、綺麗に浮き上がる横顔。
……その足元に、5人の男が倒れている。
ゆっくりと振り返った荻原くんに、ぞくり、と背筋が凍る。怖い。
無意識のうちに恐怖心が湧き上がる。
ここにいちゃいけない。この人は怖い。ここは私の来る世界じゃない。この荻原くんのこと、知っちゃいけない。
……頭では痛いほど、わかってるのに。