撃ち抜くならキスのあとで




「早く帰りな、永島さん」





温度のない声。


5人もの男の人を倒したのに、息ひとつ乱れていない王子様。

この人が異常だってこと、わかるのに。






「……ミルクティー、買って、きた」



震えてしまった声と同じように、足も震えている。荻原くんだってそれに気付いてる。


きっと彼は、私が逃げ出すと思ってる。


でも、荻原くんだって知らないでしょう。


……私そんなに臆病じゃないよ。






「荻原、くん」




冷ややかな視線。

5人の男の真ん中に立つきみ。
危険すぎる王子様。



脳内が警告してる。

この人に近くなって、今すぐ走って家に帰れって。


……だけどそれと同じくらい、私の心はもう、彼に堕ちてる。




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