撃ち抜くならキスのあとで
白い肌に、サラサラの黒髪。
きちんと着た制服は彼のスタイルの良さを引き立てていて、にっこりと笑って細くなった目の下の、泣きぼくろが色っぽい。
彼は全校生徒の憧れの的、優等生で生徒会長の荻原 海里くん。
成績もトップ、スポーツも万能、誰にでも優しくて非の打ち所がない完璧な王子様。
私も彼に憧れて生徒会に入って書記をしているし、おこがましくて想いは伝えられないけれど彼のことが大好きだ。
いつもポンコツなミスばかりする書記の私を優しくフォローしてくれて、文句ひとつ言わずに「字が綺麗で読みやすいよ」なんて褒めるところを見つけてくれる。
そんな彼に呼び出されるなんて、今までの私だったら泣いて喜んでいただろう。
……ただ、今日は違う。
彼の文句の付け所のない完璧な笑顔に、ぞくりと冷や汗が浮かんだ。
大人しく生徒会室を出て、荻原くんについて行く。その背中すらも格好良くて、ずるい。