撃ち抜くならキスのあとで





「───急に呼び出してごめんね、ちょっと聞きたいことがあって」



人気(ひとけ)のない廊下まで歩いてきて、周りに誰もいないことを確認してから荻原くんが立ち止まる。

私もそれに合わせて足を止めた。




荻原くんはスッと振り返って、私を見透かすみたいに目を細める。


さっきまでの優しい笑顔が消えて、冷ややかな視線が私を刺す。






「昨日、見たよね?」







"見た"


何を見たのか、思い当たる節はひとつしかない。




< 5 / 29 >

この作品をシェア

pagetop