異世界もふもふダンジョンごはん~クールな騎士に一途に愛されて、満腹ライフを堪能中~
「エリカ。何かあった?」
この場にそぐわないほど落ち着いた声を発した男に、その場の視線が集中した。
少し襟足の長い茶色の髪を、エリカと呼ばれた女性と同じチェック柄の三角巾でまとめている。頭を少し下げながら、奥の部屋の入り口から顔を出していた男は、カウンターの前に立つ男達の姿を目にして、その切れ長の目を僅かに細めた。
その顔は、女性が十人いれば、九か十は振り向かせると思わせる。エリカからすると無駄に綺麗なその顔が、鍛えられた無駄に長身な体に付いている。
小柄なエリカにしてみれば、椅子に座ってもらってようやくまともに視線を合わせられる高さにある顔なので、『無駄に』と言う形容をつけるしかない。
「ええと……用心棒の押し売り?」
「お帰り願って」
打てば響くようなその答えに、今まで男の姿に呆気にとられていた押し売り用心棒の面々はようやく正気に返ったのか、小馬鹿にしたように笑いはじめた。
「ねえちゃんの旦那か? こんななよっとした男が用心棒にはなりゃしないだろう? 俺らにしとけって」
「兄ちゃん、悪いことは言わねえから、用心棒は俺らに任せて引っ込んでな」
そう言いながら手を伸ばした押し売り用心棒は、伸ばしたはずの手が空を掴み、首を傾げた。
伸ばした手の先にいたはずの男は、その時には横をすり抜け、押し売り用心棒集団の中心人物で、今も手を押さえていた大男の襟首を掴み、扉の外に豪快に放り投げていた。
「なっ!」
この場にそぐわないほど落ち着いた声を発した男に、その場の視線が集中した。
少し襟足の長い茶色の髪を、エリカと呼ばれた女性と同じチェック柄の三角巾でまとめている。頭を少し下げながら、奥の部屋の入り口から顔を出していた男は、カウンターの前に立つ男達の姿を目にして、その切れ長の目を僅かに細めた。
その顔は、女性が十人いれば、九か十は振り向かせると思わせる。エリカからすると無駄に綺麗なその顔が、鍛えられた無駄に長身な体に付いている。
小柄なエリカにしてみれば、椅子に座ってもらってようやくまともに視線を合わせられる高さにある顔なので、『無駄に』と言う形容をつけるしかない。
「ええと……用心棒の押し売り?」
「お帰り願って」
打てば響くようなその答えに、今まで男の姿に呆気にとられていた押し売り用心棒の面々はようやく正気に返ったのか、小馬鹿にしたように笑いはじめた。
「ねえちゃんの旦那か? こんななよっとした男が用心棒にはなりゃしないだろう? 俺らにしとけって」
「兄ちゃん、悪いことは言わねえから、用心棒は俺らに任せて引っ込んでな」
そう言いながら手を伸ばした押し売り用心棒は、伸ばしたはずの手が空を掴み、首を傾げた。
伸ばした手の先にいたはずの男は、その時には横をすり抜け、押し売り用心棒集団の中心人物で、今も手を押さえていた大男の襟首を掴み、扉の外に豪快に放り投げていた。
「なっ!」