異世界もふもふダンジョンごはん~クールな騎士に一途に愛されて、満腹ライフを堪能中~
男はその後も男達を外にぽいぽい投げ続け、一人残った男に宣言した。

「ここが現在求人しているのは、ハウスメイドだ。それともあんた、メイド服着てベッドメイキングしてくれるのか?」

「うーん、さすがにメイド服は女性用しか用意してないかな……。そもそも男性用のメイド服は売ってるのかしら……。いや、でも、世の中にはメイド服が着たい男性がいるかもしれないし、女性に限る必要は無いのかしら……?」

真剣な表情でエリカが答えているのをまるっと無視して、男は告げた。

「それからここの主人は彼女ではない。……長年この世界を守り続け、務めを全うした元勇者がここの主人だ。……さて、用心棒志望のあんたたちは、その元勇者よりも強いのか? 用心棒がしたいなら、その勇者以上の力を示してもらわないとな」

「ゆっ、勇者? 勇者ケント……? いや、だが、勇者はもう結構な歳だったはず……」

押し売り用心棒は、自分が知る勇者の情報を思い浮かべ、その情報と目の前の男を比較していたためか、動きが完全に止まっていた。

もし、男が言うことが真実なら、ここは歴代最強と噂される勇者の住処と言うことになる。小悪党など一瞬で制圧されかねない相手に怯んだ瞬間、男がカウンターの内側から一本の剣を取り出すに至り、押し売り用心棒は慌てたように外へと向かった。

「お、覚えてやがれ!」
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