異世界もふもふダンジョンごはん~クールな騎士に一途に愛されて、満腹ライフを堪能中~
男は外に出たあと、全員が慌てふためき立ち去るのを、戸口から眺めていた男は、今もカウンターで見当違いな事で思い悩むエリカの前に立ち、その頬を両手で押さえて上を向かせた。
「エリカ……。何真面目にあんな奴らの相手をしてるんだ」
「いやぁ、だって、冒険者をしていれば、あれくらい荒々しくなる人達は結構いるかなと思って……」
「とか言いながら、あきらかにめんどくさいと思ってたよね?」
頬を抑えられているために顔を逸らせないエリカは、必死で視線だけを外している。
「しーさんに言えばあれくらいすぐ追い出せただろう?」
そう言われて、視線は自然とカウンターの上にある花瓶の側へと向けられた。
小さな籠の中、飾られた花に埋もれるように、白くほわほわとした毛玉が乗っている。
そう、先ほどの男が殴りつけたとき、攻撃を受け止めたのは花瓶ではなかったのだ。この小さな籠の中の、小さな毛玉を、あの男は殴りつけたのだ。
「しーさん、殴られても起きないくらい熟睡していたから、起こすのかわいそうかなって」
「目が覚めたあと、エリカが危ない目に遭ったって分かった方がかわいそうでしょ」
頬を抑えられたまま、エリカはむぅ、と頬を膨らませたが、長年の付き合いの男には慣れたものだった。
「エリカ……。何真面目にあんな奴らの相手をしてるんだ」
「いやぁ、だって、冒険者をしていれば、あれくらい荒々しくなる人達は結構いるかなと思って……」
「とか言いながら、あきらかにめんどくさいと思ってたよね?」
頬を抑えられているために顔を逸らせないエリカは、必死で視線だけを外している。
「しーさんに言えばあれくらいすぐ追い出せただろう?」
そう言われて、視線は自然とカウンターの上にある花瓶の側へと向けられた。
小さな籠の中、飾られた花に埋もれるように、白くほわほわとした毛玉が乗っている。
そう、先ほどの男が殴りつけたとき、攻撃を受け止めたのは花瓶ではなかったのだ。この小さな籠の中の、小さな毛玉を、あの男は殴りつけたのだ。
「しーさん、殴られても起きないくらい熟睡していたから、起こすのかわいそうかなって」
「目が覚めたあと、エリカが危ない目に遭ったって分かった方がかわいそうでしょ」
頬を抑えられたまま、エリカはむぅ、と頬を膨らませたが、長年の付き合いの男には慣れたものだった。