無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎
あまりにも化粧のことに触れられないから、李々斗が電話をしていた頃には自分が化粧をしていることはすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
国宝級のご尊顔にじいっと見つめられ、耐えきれず反射的に身体を引く───と。
「ひぇえっ……!?」
「ちょ、楓莉───」
ソファというのは背もたれがあるのが普通で、左右に背中を支えるだけの背もたれがあるはずはない。
わたしは今ソファの上で、必然と李々斗と向かい合うように座っていたので、つまり。
背もたれのない向きに身体を引いたわたしは バランスを崩してそのまま、
「……あっぶな、」
「あっ、うぅう……!?!?!?」
李々斗に押し倒されてしまった。
いや、厳密には後ろ向きに床に落ちそうになったわたしを支えようと手を伸ばした李々斗の服をとっさに引っ張ったことで巻き込んでしまった、のだけど。