無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎
うっかりぽろりとこぼした言葉に、返事は帰ってこなかった。
代わりに、もう一度だけキスを落とされる。
視界が真っ暗だから李々斗がどんな表情をしていたかはわからなかったけれど、きっと真っ赤なリンゴみたいになっているんだろうなと思ったら、自然と笑みがこぼれた。
「…何笑ってんの?」
「いや、りりが可愛───…っ、ご、ごめんってりり……!」
その後3回ほどおなじやりとりを繰り返したのは、ここだけのひみつの話である。
──ちなみに、わたしが部屋の前で泣き出した声は、リビングにいた李々斗のおかあさんの耳にもしっかり届いていたらしく。
「いいわねぇ、青春ねぇ、ふふ」
「……もう学校行こ」
「い、行ってきます……」
「ふふふ、うふ、いってらっしゃぁい♡」
翌朝、李々斗とわたしは、分かりやすく語尾にハートをつける李々斗のおかあさんに見送られて家を出た。