無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎
「……楓莉、なんでこんなとこにいんの?」
あくまでクールに、冷静に。
「どうせ帰る家同じだから一緒に帰ろう」とか、頭の中でそんな次につかえそうな台詞を思い浮かべたりもした。
「りり、」
「……バイトは?」
「っ、あ、早上がりで、あの」
目が合ったのは久々で、それだけで心臓がうるさく音を立てた。
楓莉の目元は赤くなっていた。
泣いていたみたいだ。
吉川に告白して振られたとか……じゃ、ないよな、まさか。
「有村さん、泣いてたから慰めた」
そんな俺の心情を読み取ったかのようなタイミングで吉川にそう言われ、「は……、」と声がもれた。
慰めたって……泣いている原因は吉川じゃないってことか。
「で、送ってこうと思ったら断られた。成水が嫌がることはしたくないんだって」
「……、」
「ちゃんと話、聞いてあげて」