無気力な幼なじみと同居したら、予想外の溺愛がはじまりました❤︎
「吉川くん」
「隣、よろしくね」
爽やかに笑ったのは、図書委員の男の子──吉川 汐音くんだった。
前回 李々斗と隣の席隣だった高沢くんと仲がいい、比較的大人しめの男の子。成績優秀で、テストはいつも学年で5位以内をキープしている。
普段から穏やかで優しい雰囲気に包まれた吉川くんは、思いのほか 気さくに話しかけてくれるタイプみたいだった。
「この席、結構当たりだよね」
「ね。わたしずっと一番前だったからなんか変な感じー」
「一番前、授業中寝れないし大変じゃない?ここじゃ寝放題だ」
「え。吉川くん寝たりするの?」
「寝るよ。人間の本能でしょ、睡眠ってさ」
意外だった。
吉川くんは頭が良いから、無条件で授業中はちゃんと起きて聞いているんだとばかり思っていた。
「俺、起きてる風に寝るの得意」と、まるでいたずらっ子みたいに笑うから、吉川くんってけっこう可愛い一面があるんだな と、そんなことを思った。