キミだけのヒーロー
それから30分ほどして、息を切らせたカナコがやってきた。

雨が降っているのというのに、何をそこまで急いでいたんだろう。

少なくとも電話で済む話じゃないってことか……。


カナコはヤマジの隣に座るなり、向かいにいるオレを見る。

気のせいかその顔色はいつもより青い気がした。


「ケンジ――落ち着いて聞いてほしいねんけど」


「ああ」


つか、なんやねん。

そこまでもったいぶるなんて。

いつもと違うカナコの表情に、何を言われるのかと、オレまでがドキドキしてきた。


「北野さん……」


カナコは言いにくそうな表情で、ゆっくりと口を開いた。




「事故に遭ったって……」






「え?」

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