キミだけのヒーロー
その瞬間オレの頭には昨夜の夢が浮かんだ。

悲しそうに微笑む北野典子の口元。

あれはやっぱり何かの暗示だったのか?


「……いつ?」


声がうわずる。

落ち着こうと思っても、心臓が脈打つ感覚が全身に伝わり、指先がかすかに震える。


オレは何かにすがるような思いで、近くにあったストローの袋を意味もなく握り締めた。


「事故に遭ったのは3年前やねん……」


「え? 3年前?」


「うん……」


カナコは横からヤマジのジュースを奪うと、一口含んだ。

今から言う話を頭でまとめているようだった。


「中2の時に、北野さんと一番仲の良かった子と連絡が取れてん。で、その子が言うには……」


「うん」


「引っ越してすぐに交通事故に遭ったって……」


「それって……死……」
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