キミだけのヒーロー
「何組?」


ページをめくりながらカナコに尋ねる。


「えーとね。たしか2組やったと思う」


その言葉を聞き終える前に、オレはサユリの姿を見つけていた。

ちょうど2組のページを開いていたからだ。


中学時代のオレの知らないサユリ。

今より髪も短い。

ちょうど肩に届くか届かないかぐらいの長さだ。

ほんの少しふっくらとした顎のラインのせいか今よりもかなり幼く見えた。

でも可愛い。

中学の頃から男に人気があったというのも頷ける。

きっと同じクラスだったら、オレは間違いなくこの頃からサユリに恋してたと思う。


サユリの写真を眺めながら、今更ながら冷静に考えてみる。

やっぱ、どう考えてもおかしかった。

こんな可愛い子がオレに一目ぼれだなんてありえないよ。


パタンとアルバムの硬い表紙を閉じた。

そして、カナコにそれを返しながらポツリと話した。


「これって、北野典子は載ってないんやんなぁ……」

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