キミだけのヒーロー
「スポーツ後にロイヤルミルクティってどうよ?」


シィはなんとも言えない表情でミルクたっぷりの紅茶花伝を味わっている。


「うぃー……す」


背後からけだるい声がしたかと思ったら、サトシが立っていた。


できるだけ普通に振舞おうと思っちゃいるんだけど、やっぱまだダメだ。

つい、サトシから目を逸らしてしまう。


「来てたんや?」


「ああ、進路相談」


そんなオレの気持ちなんてまるでわかっていない二人は普通に会話している。


サトシはふぅと大きなため息をつきながら、自販機に金を入れている。

チャリン……チャリン……

まるで一枚一枚を確認するかのようにゆっくりと入れるサトシ。

そして、ボタンを押すとまたため息をついて取り出し口に手を入れる。


その動作は、まるで何か重い荷物でも背負っているかのようにダルそうだ。

何かあったんだな……オレはそう直感した。
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