キミだけのヒーロー
「なぁ。お前……なんかやつれてない?」


オレが思ったことを、シィがそのまま口にした。


「あー、うん」


サトシはコーラのプルトップをプシュっと音立てながら開けた。

そして一口ゴクリと飲み込んだ。


「やばい女につかまってもーた」


その瞬間オレの頭にカッと血が昇った。

サユリだ……。

サユリのことを言ってるんだ。


「やばい女って……?」


できるだけ感情を押さえているつもりだけど、多分オレの声は震えていた。


「オレその気、全然ないっつってんのに、めっちゃしつこいねん。もう、ストーカーやで、アレは」
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