キミだけのヒーロー
「慰めてくれてありがとう。でも、ほんとにそんなん全然ないっていうか……。告白されたこともないねん」


彼女はほんの少し寂しそうに、だけどきっとオレに心配かけまいとしているのか、冗談でも言っているかのような笑顔でそう言った。


その顔を見ていると、オレの中で何かがひっかかった。


ああ……そうか。


きっとちぃちゃんとオレはどこか似ているとこがある。

オレ達はいつもコンプレックスを抱えている。

心のどこかで『自分なんか』って否定的な想いがあって、そのせいで些細なことに自信を失くすんだ。

だけど、その不安を誰かに悟られるのも嫌なんだ。

なぜなら、周りのヤツらに余計な気を使われたくないから。

自分のせいで周りの空気が悪くなったりする状況が耐えられないんだ。

それなら自分一人で抱え込むほうがましだ……そう思っている。




告白されたこともないか。

ちぃちゃんの言葉が事実だとしたら、オレにはその理由がなんとなくわかる。


「ちぃちゃんはなぁ……。男を警戒してるっつうか、拒否ってるようなオーラを出してるねん」


「ええ? 何、それ? オーラ?」
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