キミだけのヒーロー
オレは前に授業でしたのと同じ質問をエッちゃんにした。

エッちゃんは突然の質問に目を丸くして驚いている。


「何~? 誰かに恨まれるような悪い事したの? 日下部君~」


まるでからかうようにそう言うエッちゃん。


「違うって。恨むとかそういうタチの悪いもんじゃなくて……。魂だけが体から離れて彷徨うことってあるんかなって……」


オレの様子を見て何かを察したエッちゃんは「中に入って」と、オレを国語準備室に入れてくれた。



「何かあったの?」


エッちゃんは自分の席の隣のイスをオレに勧めながら尋ねる。


オレはどこまで話せばいいのか迷いながら、たどたどしく話し始めた。

全てを言うことはできなかったが、3年前の出来事をかいつまんで説明した。


事故に遭って意識不明なはずの女の子に出会ったことを。


「ん――」


エッちゃんは、両手を組んで一瞬天井を仰いで考え込む。


「わたしはそういうの専門じゃないけど……」


「うん」


「やっぱり何か強い想いがあったのかなぁ。学校に現れたってことは、何かやり残したことや、誰かに伝えたいことがあってそこにやってきたんじゃないかなぁ」
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