キミだけのヒーロー
耳にあてた携帯からは機械的なコール音が響く。


どうか出てくれ……。

だけど、そんな願いも虚しく5度目のコール音のあと、その音はツーツーという虚しい響きに変わった。


意図的に切られたのは明らかだった。


――そりゃそうか。

あんだけひどいことしたんだもんな。

嫌われて当然だ。


出端をくじかれるとはこのことだな。

せっかく振り絞った勇気が粉々に砕け散ったような気がして、しばらくその場から動けなかった。


その時力なく握っていた携帯が手の中で震えた。


まさかと思い期待を込めて画面を確認したが、その期待はもろくも崩れ去った。


「もしもし?」


電話の相手には申し訳ないが、オレのテンションは最悪だった。


《ケンジ? 今どこ?》


電話はカナコからだった。

カナコはオレの様子など全く気にしていないようで、それよりも彼女自身が何かに焦っているようだった。


「ん? 今学校やで」


《そっか。あのね……。実は、北野さんのお姉さんに会えるかもしれへんねん》


「え……お姉さん?」
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