キミだけのヒーロー
《うん。2、3日前から、友達に会いにこっちに来てるねんて。で、今夜にはもう名古屋に帰るらしいねん。ケンジどうする? 会いたいなら、お願いしてみるけど》


「あ……会いたい!」


オレは携帯を強く握りしめてそう叫んでいた。

お姉さんに会ったって、どうなるわけでもない。

あの話をしてお姉さんが信じるかどうかもわからない。


だけど、せめてタオルを返したい。

オレができることってそれぐらいしかないよ。


携帯を切ると、タオルを取りに家へ急いだ。

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