キミだけのヒーロー
思わぬ言葉が返ってきたことに、オレは動揺を隠しきれなかった。


「あ…あの……この苺の模様に見覚えはありませんか?」


オレはタオルの表の苺の刺繍を指差した。

だけどお姉さんは首を横に振る。

だったら……。

オレはタオルの裏のタグを見せた。


「ここに名前が書いてあるんです。文字が消えかかってて、“キリノノリコ”に見えるんですけど。これって多分“キタノノリコ”って書いてたんじゃないかって」


今度はそのタグをお姉さんはじっと見つめ、そしてまた首を横に振った。


「うん。やっぱり典子のじゃないみたい。あの子はすごいクセ字やねん。だから、見ればすぐにわかる」


「……そうなんですか」


「ねぇ。日下部君?」
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