キミだけのヒーロー
オレが友情を噛み締めているその時、正門から三人組みの女の子が出てきた。


「来たッ」


「どの子?」


「真ん中」


サユリの右には、初めてサユリを紹介された時に一緒にいたマユがいた。

そして、左は知らない子だった。


もう、人目も気にせずサユリの元へ近づいていった。


「ケンジ……」


オレに気づいたサユリが足を止めた。


「サユリ、話したいことがあんねん」


サユリは唇を噛み締めて顔を歪ませると、俯いてオレの目の前をすり抜けて行った。


慌てて後を追おうとしたオレの鞄を誰かが掴んだ。


「ちょっと!」


マユだった。


「今更何の用? あの子めっちゃ傷ついてるんよ」


キッと鋭い視線でオレを睨むマユに返す言葉も無かった。


その時、ふいに横からオレ達の緊迫した空気を針でつつくような能天気な声がした。


「あ……あれぇ~? ひょっとして……香椎君?」
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