キミだけのヒーロー
ナツミが思い出したかのようにパッと表情を変えた。


「あのコさぁ、ソフトボールできなくなって落ち込んでた時期があってん」


ああ。

確かに、サユリは中2の頃、怪我でソフトができなくなったって言ってた。


「あたしあの頃、試合見においでって誘ってた。少しでも気晴らしになるかなって思って。あたしに付き合って何度か見にきたことあるねん。もしかしたら、その試合で日下部っちのこと見てたんかも」



「その可能性はありやな」


シィもうんうんと頷いている。


試合ねぇ……。

N中との試合といえば、やっぱり思い出すのは例の試合なんだよな。

オレの初めてのスタメン。

負けて悔しかった事。

それから、水飲み場でタオルをくれた女の子……の…こ…と。



え?


まさか!
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