キミだけのヒーロー
頭をフル回転させて考える。


落ち着け、落ち着いて考えろ!


頭の中にうっすらと靄(もや)のようなものがかかってて、その向こうにはっきりしない何かが見える気がする。

それを手繰り寄せるんだ!


タオルに書かれた“キリノノリコ”の文字。


ふいにカナコの言葉を思い出す。

――『そのタオルの文字って消えかけてたんやろ? つまり……カタカナの“タ”の字の一部が消えて“リ”に見えてたんじゃないかな?』


そうだ。

“タ”が“リ”に見えたんだ。


まさかと疑う気持ちと、ひょっとしたらという期待感が交差する。

テーブル脇にあったアンケート用紙のような小さな紙を一枚引き抜いた。

そしてそばにあったボールペンを手に取る。


そんな行動に不思議そうな目を向ける三人。


オレはアンケート用紙の裏に、“キリノノリコ”と書き込む。

そしてその下にはサユリの名前をカタカナで書く。


二つをジッと見比べる。



ああ……そうか。

ずっと謎だった存在。

その全てが繋がった瞬間だった。

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