キミだけのヒーロー
「そうか……わかった!」


オレは立ち上がって喜んだ。


目の前の三人ばかりか、店内のみんなが呆気に取られてオレに注目する。

だけど、そんなこと全く気にならない。


オレは嬉しさのあまり、マユとナツミに「ありがとう」と何度も口にしながら、両手で握手した。



鞄を手に取った。


「サユリに会ってくる!」


そう言って、まだポカンと口を開けたままの三人に背を向けた。



「おい! 会計―――!」


店を出る瞬間、シィの叫ぶ声が聞こえたような気がしたが、そんなことに構っちゃいられない。



サユリ、ほんとごめん。

全然気づいてやれなくて。
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