キミだけのヒーロー
サユリがオレの手のひらに乗せてくれたもの。

それは以前、河川敷で一緒に探した四葉のクローバーだった。

押し花にされたそれは、薄黄緑色の和紙のような物にラミネート加工され、さらに栞のようにてっぺんに赤いリボンがついていた。


「オレのために作ってくれたん?」


サユリはコクンと小さく頷く。


「あたしのも。おそろいやねん」


オレはもう一度サユリを抱きしめた。


「やばい……さっきからオレのツボにはまりまくりやねんけど……」


そしてもう一度、顔を近づけようとしたその瞬間、オレのポケットの中で携帯が震えた。


いやいや、ここで止められませんって。


そのまま軽くキスをした。


「好き……めっちゃ好き」


頬や唇や額に何度も何度も口づけた。

そして二人で見つめ合って笑った。


あー、もう、幸せすぎるだろっ。

オレは上機嫌で携帯に手をやった。


「ちょっとごめんな」


そう言って、画面を確認する。

メールの着信だった。


メール内容を見た瞬間……


オレの目からはまた涙がこぼれた。
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