キミだけのヒーロー
「良かったね……」


サユリは両手でそっとオレの手を握った。


潤んだ瞳に夕陽が映って、キラキラと輝いていた。


過ぎ去っていく夏を惜しむような……

蝉しぐれがオレ達の頭上から降り注ぐ。


一面のクローバーを、そよそよと風が揺らす。


土と草の匂いに包まれる。


オレ達を取り巻く全てのものが優しく祝福してくれているような気がした。




オレはちっぽけな存在で

情けなくて

どうしようもないヤツだけど……


きっとサユリがいてくれたら大丈夫。



サユリは幸運の女神なんだ。


女神を味方につけたオレはなんだってやれる。


今なら無敵のヒーローにだってなれる



……そんな気がするんだ。





[完]


まだおまけのストーリーがあります!
良かったらあとがきの後までお付き合いください

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