キミだけのヒーロー
オレの疑問に気づいたのか、シィが昨日の惨事を説明してくれた。



「あの後……。お前が金払わんと出て行った後!」


シィはオレの顔の真横の壁にダンッと手をついた。


あーのー……。

相当怖いんすけど?


「あいつら、さらに注文しやがって! つかどんだけ食うねん!」


あいつらってのは……マユとナツミのことだな。

おえー。

あの後まだ食ったのか。

想像しただけで胸焼けが……。


「おまけに、あの店出た後、なぜか拉致られて、カラオケ代まで払わされたっちゅうねん」


ひぃいいいいいい。

あっぶねー。

オレ、帰ってよかった。


「っつうわけで、食事代とカラオケ代。しめて、4900円! 一括で返済してもらおうか?」


そう言って、手のひらをオレに向けてズイッと差し出す。

今や取立て屋になりきったシィには泣き落としなんて通用しないようだ。
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