キミだけのヒーロー
はぁああああ。

昔はオレの後についてまわって、あんなに可愛かったのになぁ……。

いつの間に、こんな子憎たらしい女になってしまったのか。

兄ちゃん、お前をそんな娘に育てた覚えはありませんっ!


そう。

マキは今やS女に通う高校2年生。

そしてオレは……


母校の高校の社会科教師になって3年目。
(あ、ちなみにサッカー部の顧問やってます)


あの頃はまさか自分が高校教師になるなんて思いもしなかったけどなぁ……。

なんて、制服姿のマキを眺めながら物思いにふける。


「お兄ちゃん、キモい。ジロジロ見んといてよ」


「ハイハイ」


洗面所を退散して、ダイニングテーブルについた。


トーストをかじりながら、リモコンでテレビをつける。

いつものニュース番組をチェックする。

社会科の教師ゆえに、ニュースを見るのは基本中の基本。



「あ――――!」


ドタバタと足音をさせて、慌てた様子でマキがダイニングにやってきた。
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