キミだけのヒーロー
《リカコちゃん。今日は宝物を持ってきてくれたんですよね。そのエピソードを教えてもらえますか?》


テレビの中の司会者がリカコちゃんに尋ねる。

どうやら、ゲストの宝物を紹介するコーナーらしい。


《ええ。わたし、子供の頃から劇団に所属してたんですけど……。全然ダメで、オーディションも落ちてばっかだったんです》


《ええっ。リカコちゃんが?》


大袈裟に驚く司会者がわざとらしくて、オレは飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。


《その頃、たまたま通りすがりの人がとても親切にしてくれたんです。すごくうれしくて心が温かくなって。自分もそういう人になりたいって思ったんです。誰かを幸せな気分にさせるような人になりたいって》


《なるほどー。じゃ、その宝物見せてください》


リカコちゃんは、持っていた袋の中から宝物を取り出してテーブルに置いた。
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