キミだけのヒーロー
「コッ……!」


彼女は何か言いかけてやめた。

なぜか今席についたばかりのシィをじっと凝視したまま、さっき以上にカチコチに固まっている。


そしてもう一度……。

「コッ……」と呟く。


コッ……がどうしたんだ?

オレをはじめ、みんな不思議そうな顔で彼女の言動に注目する。


さらに……


「コッ…………………………」


彼女は困ったような表情で目を泳がせていると思ったら、ニヘラッて感じで笑って言った。


「こんにちは」


その言葉に、テーブルに片肘ついていたオレの体はコントみたいにすべった。


『こんにちは』かい!

心の中で、思いっきりつっこみを入れる。


するとシィは、ぽかんと口を開けたまま言った。


「ハイ。こんにちは」


……って、普通に挨拶返してるし!


どんだけ天然やねん!



オレ達はこの間抜けな二人のやりとりに爆笑した。
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