キミだけのヒーロー
「だいたいお前はどんな女やったらえーの?」


オレの心を読み取ったように、サトシが尋ねた。


「別に特別美人が良いとかそんなんちゃうねん。んー……。どういったらええんかなぁ。そうそう! 例えば……花屋とか……雑貨屋とかで働くのが似合いそうな子! 高いヒールよりも、ぺったんこ靴の似合いそうな子……。あと、たこ焼きとかをうれしそうに頬張ってくれてるような……」


「プッ……」


サトシが吹き出した。


「お前は女に理想を抱きすぎやな。そんな形だけのもん、たいしてあてにならへんで。花屋に勤めてるからって、自然を愛する心の優しい女の子とでも思ってるん? 女なんか自分をよく見せるためやったら、いくらでも化けるで?」


「うわぁ……そんな現実、言わんとってくれやぁー!」


オレは両手を耳にあてて聞きたくないポーズをするが、サトシはさらにおいうちをかける。



「いや、現実を見ろ。恋愛中に自分の全てをさらけ出すやつなんかおらんで。オレはむしろ騙しあったり探り合ったりが好きやねんけどなぁ……。オレのために必死に取り繕ってんの見てると可愛いなって思うで」


うわっ……

こいつ、めっちゃ屈折しとる!


そんなこと考えているとサトシの携帯が震えた。


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