キミだけのヒーロー
彼女はオレらに気付き、手を振っている。

おそらく、マユって子なんだろう。

なるほど。

話したことはなかったが、確かに顔に見覚えはあった。


オレ達はマユの向かいの席に座った。


「あれ? もう一人の子は?」


サトシがマユに尋ねる。


「トイレ。なんかあの子、超緊張しててさぁ……」


なんて言いながら、マユは意味深な顔でオレの方をニヤニヤしながら見てる。

マユはわりと派手な子だった。

もう少しナチュラルにした方が可愛いんじゃないかって思うぐらい目の周りが真っ黒に縁取られている。


うーん。

ということは、もう一人の子もこんな感じかもな。

なんて容易に想像がついてしまう。


それからオレ達三人は、中学の頃の思い出話などで盛り上がっていた。



「あの……ごめんなさい」


ふいに頭上でそんな声がしたと思ったら、オレらのテーブルの横に女の子が一人立っていた。
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