キミだけのヒーロー
そして彼女はおもむろにオレの向かいの席についた。

その間、時間にすればわずか数秒の出来事だったのかもしれない。

だけどオレは彼女が登場してからというもの、彼女から目が離せなくなっていた。



これは……夢かな。


ちょっと信じられなかった。

もしも女神とか天使とか、そんなもんが実在するなら、こんな姿形をしてるんじゃないだろうか。


ルックスはもろにど真ん中の好みのタイプだった。

いや、それ以上だと思う。

サラサラストレートロングの髪は窓から差し込む日差しのせいでほんの少し明るい茶色に見えた。

だけど、きっとあれは染めてるわけじゃないと思う。

それぐらい天然でキレイな色だった。

その髪に囲まれた小さな白い顔。

あまり大きくはないが、黒目がちの目はビッシリと生え揃った長い睫毛に縁取られていた。


一般的に言うところの飛びぬけた美人顔ってわけではない。

だけど、可愛い……。

ナチュラルに可愛い。

高嶺の花タイプの美形よりも、この手のタイプが一番男にモテるんじゃないだろうか。

そんな感じがした。




「この子、サユリ」


マユの言葉にハッとした。
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