キミだけのヒーロー
「え……」


オレの言葉に彼女は顔を上げる。


「……なんでオレを紹介して欲しいって言ったん?」


「あー……」


彼女は一瞬目を泳がせて戸惑いを見せた。

そして

「中学の卒業アルバム見せてもらってん。それで……あの……一目ボレ……かな」


そう言うとまた顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。


そんな彼女にもう一度オレの方を見て欲しくて、オレは言った。




「マジで……? オレも、そうかも……」


「えっ……?」


オレの言葉に反応して真っ赤な顔のまま、驚いた表情で彼女が顔を上げてくれた。

そしてオレはニッコリ微笑んだ。


「一目ぼれ」



日下部健二、16歳。

本日より、彼女のヒーローになることを誓います。
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