キミだけのヒーロー
「はいはい」


ヤマジはくすくす笑いながら、やっとこちらに顔を向けてくれた。

つか、確信犯?

なんかオレ、時々こいつに(ってゆか、誰からも)遊ばれてる気がするんだけど……。

気のせいか?

ま、いいや。


オレは先週末の出来事を、大袈裟なジェスチャーを交えて説明した。

しかもちょっと話を膨らませ気味で。


何がウケるのか、ヤマジは腹を抱えながら笑っていた。


「……で。オレの天使が言うわけ、『一目ぼれかな』(ここはサユリの声色をマネて)って! そん時、オレの頭上では、幸せの鐘が鳴り響いて……」


「何が、天使やねん!」


突然、頭上でオレの話にツッコミが入ったかと思ったら、まさにパコーンって感じで誰かに思いっきり叩かれた。



「っつう……」


頭を抱えながら声のする方を向く。


「げっ……お前いつからおったん?」

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