キミだけのヒーロー
「ぎゃはははははは!」


オレの話を聞いて、シィがゲラゲラ笑ってた。

色んな意味で衝撃的な告白を受けた後、オレはいつもどおりサッカー部の部活に出ていた。

今は練習を終えて、シィと2人でボールを磨いている。


「期待したオレがアホみたいやん。だいたい直接本人に渡せっちゅうねん」


「まぁまぁ……。直接渡すのは恥ずかしかったんちゃう? でもなんかわかるなぁ……。お前にやったら、頼みやすいっつか。声かけやすいっつの?」


目尻を下げ、ニコニコ笑いながらシィが言った。


そう……。

そもそも、オレが“レッド”の座を失うことになった諸悪の根源はコイツなんだ。


香椎直道(カシイナオミチ)。

……通称シィ。

シィとは元々同じサッカー部だった。

2年生になってクラスが同じになったのをきっかけに、何かとつるむようになった。


< 5 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop