キミだけのヒーロー
「うん。そうやね」


サユリはオレの方を見ずに消え入りそうな声で呟いた。


「――肩痛めてなかったら、――会えへんかったかもしれへん」


「え?」


「ううん。なんでもない」


その時、オレの携帯がポケットの中で震えた。

サユリの言葉が気にはなったが、オレは携帯を取り出して確認した。


カナコからのメールだった。




――――――――-
From カナコ

“キリノノリコ”
の謎が解けた!

詳細は
明日学校にて!

名探偵 カナちゃんより
――――――――-




ブッ……。

誰が名探偵やねん。

オレはカナコからのメールに突っ込みを入れて吹き出した。


そんなオレをサユリは不思議そうに眺める。


そうだ……。

サユリはN中だったんだよな。

だったら、サユリに聞いてもいいんだよな。


“キリノノリコ”のこと。


「あのさ……」
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