キミだけのヒーロー
中2かぁ……。

たしか、あのタオルを貸してもらったのは中2の秋だった。

引っ越したのはきっとその後なんだな。


「どこに引越したん?」


たとえ引っ越したとしても、もしも近くなら会えるわけで……。


「あ。ごめん、そこまで聞いてなかった」


カナコは肩をすくませて申し訳なそうにそう言った。


「お前はツメがあまい!」


オレは手に持っていたノートでカナコの頭をスパーンと叩いた。


「なによー! せっかくいいもん持ってきてあげたのにー!」


カナコは頭をさすりながら、口を尖らせる。


「いいもん? 何?」


「しょうがないなぁ……。見たい?」
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