キミだけのヒーロー
随分もったいぶっているが、その表情からすると、カナコ自身が見せたくてしょうがないという感じだった。


「ナニナニ?」


カナコの自尊心をくすぐるために、オレもわざとらしいぐらい興味津々な顔を作った。

するとカナコはパシンッと勢いよくオレの机に一枚の写真を置いた。


「中2の時に北野さんと同じクラスやった子に借りてきてん。2年になってすぐに撮った集合写真やねんて」


「おおー!」


これはたしかに、“いいもん”だ。

オレは初めてカナコを見直した。


「で? どの子?」


「ええーとね。ああ…、この子、この子」


カナコが指差す先に写っていたのは、ショートカットの似合う、いかにもスポーツやってますって感じの女の子だった。
< 65 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop