キミだけのヒーロー
これって女が悪いのか?

オレからすれば、光源氏の方が最低の男だと思うけどね。

ちゃんと一人の女だけを大事にしていれば、誰も苦しむことなんてなかったのに……。

それにしても、千年以上も昔から男女のトラブルなんてのは今とあんま変わんないんだな。


そんなこと考えながら頬杖ついて窓の外を眺めた。


グラウンドにはちぃちゃんがいた。

どうやら体力測定をしているようだ。

この暑い中、ご苦労様って感じだ。


ぷっ……。

オレは思わず吹き出した。


実はさっき、昼休み中に食堂でちょっとした事故があったのだ。

ちぃちゃんの体操服にシィがうどんのつゆをこぼしたのだった。

そのせいで彼女の体操服は濡れてしまい、責任を感じたシィは彼女に体操服を貸した。

つまり今彼女が着ているのはシィの体操服だ。

それにしても、二人の身長差は25センチ以上あると思われ、ぶかぶかな体操服を着ているちぃちゃんの姿は言っちゃ悪いけどかなり不恰好だった。


オレは授業中だということも忘れて、しばし彼女の様子に見入っていた。
< 68 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop