キミだけのヒーロー
「ヨッ!」


部屋に入ると、今オレが一番会いたくないヤツがそこにいた。

相変わらずの涼しい顔で、ベッドにもたれて漫画なんか読んでる。


「来てたんや」


シィはたいして驚きもしない。

小学生の頃からの友達である二人は、いつもこんな風に本人がいなくても勝手に部屋に上がったりしてるのだろう。


「お疲れー」


サトシは漫画から顔も上げずにオレらに挨拶する。

オレは意識的にサトシとは少し離れた位置に座った。

わかってる。

別にサトシが悪いわけじゃない。

だけど、よりによってこんな気分の時に顔を合わせるなんて、神様ってヤツを恨みたくなる。


シィは着替えると飲み物を取りに部屋を出ていった。
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