キミだけのヒーロー
それにしても、なんか、情けなくて笑ってしまう。

ふいにオレの頭に過去の記憶が甦ってきた。

3年前の体育館の裏、サトシを好きなミヤビちゃんに呼び出されたオレ。

告白されるもんだと思い込んで勝手に舞い上がってた。

またあの時と同じだ。




つくづくかっこ悪いな……。

何が“ヒーロー”だ。

いい加減学習しろよ。


オレは重い頭を無理に上げた。

痛いぐらい眩しい太陽に目を細める。

瞼を動かしたせいで、目の縁にじんわりと水分が溜まる。


だああああああ!

湿っぽいの無し!

こんなのガラじゃねーし。

よし、走るぞ!

オレは青春映画みたいに、夕陽に向かってペダルを力いっぱい踏みしめた。

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