キミだけのヒーロー
一瞬、サユリの傘かと思って目を凝らして見てみたが、もちろんそれは赤の他人だった。
その赤い傘に男が駆け寄って入る。
二人は仲良さそうに相合傘をして歩いて行った。
オレがあんな風にサユリと一緒に歩いたのは、いつの話だっけ?
ついこの間のような気もすれば、随分前のような気もする。
今オレがいるこの店は、サユリとよく待ち合わせたファーストフード店だ。
あの雨の日、サユリはこんな風にこの2階の窓からオレを眺めていたのかな。
どんな些細なことも、すぐにサユリとの思い出に重ねてしまう。
そんなこと考えていたら、喉の奥がキュと狭くなった気がした。
「ケンジ? どうかした?」
いつまでもぼんやり窓の外ばかりを気にしているオレにヤマジが声をかけた。
「え? なんもないで? 可愛い子おらんかなぁって思って眺めててん」
オレは思ってもいないことを言ってその場を取り繕った。
オレとサユリが別れたことは、まだ誰にも話していない。
てか、まだ話せないと言ったほうが正確かもしれない。
今話したら、きっとどうしよもなく愚痴っぽくなってしまう。
それに、サトシが絡んでるだけに、仲間内の空気が悪くなるような気もしていた。
何より、オレはみんなに心配かけんのも同情されるのも苦手だ。
そんなのオレのキャラじゃない。
いつかもっとオレの心の整理がついたら、明るく笑って言ってやろう。
そんな風に思っていた。
その赤い傘に男が駆け寄って入る。
二人は仲良さそうに相合傘をして歩いて行った。
オレがあんな風にサユリと一緒に歩いたのは、いつの話だっけ?
ついこの間のような気もすれば、随分前のような気もする。
今オレがいるこの店は、サユリとよく待ち合わせたファーストフード店だ。
あの雨の日、サユリはこんな風にこの2階の窓からオレを眺めていたのかな。
どんな些細なことも、すぐにサユリとの思い出に重ねてしまう。
そんなこと考えていたら、喉の奥がキュと狭くなった気がした。
「ケンジ? どうかした?」
いつまでもぼんやり窓の外ばかりを気にしているオレにヤマジが声をかけた。
「え? なんもないで? 可愛い子おらんかなぁって思って眺めててん」
オレは思ってもいないことを言ってその場を取り繕った。
オレとサユリが別れたことは、まだ誰にも話していない。
てか、まだ話せないと言ったほうが正確かもしれない。
今話したら、きっとどうしよもなく愚痴っぽくなってしまう。
それに、サトシが絡んでるだけに、仲間内の空気が悪くなるような気もしていた。
何より、オレはみんなに心配かけんのも同情されるのも苦手だ。
そんなのオレのキャラじゃない。
いつかもっとオレの心の整理がついたら、明るく笑って言ってやろう。
そんな風に思っていた。