キミだけのヒーロー
おいおい……。

ひょっとして、夏にピッタリの話題か?

気づけばオレは彼女達の会話に耳を澄ませていた。


「何年か前にね、小学生の女の子がここで事故に遭って死んでしまってんて。その日は急な大雨が降って、かなり見通しが悪かったらしいねん」


「うん。それで?」


「それで……今でも時々……その子が現れるねんて」


うっ……。


「……今日みたいに、急な雨が降った日に……」


「やあ――ん!」


ビクっうううううう!


やあーん! じゃねーっつの。

し、心臓に悪いっちゅうねん。

聞き役だった女の子が急に大声を出したせいで、オレのナイーブ(自分で言うなっつの)なハートは漫画みたいに胸から飛び出そうだった。


「今、あたし鳥肌たったー!」


――オ……オレも鳥肌たっちったー。

オレは両手で体をさする。
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